介護職の仕事は、薄給で重労働というイメージが強く、常にどこの現場も慢性的人手不足に悩まされています。介護現場では、洗濯や清掃といった生活援助と食事や入浴の介助などの身体介護という業務があり、新人介護職員が一通り仕事内容を覚えるには、最低限でも3ヶ月はかかるでしょう。研修期間中は、先輩スタッフも教育に手間暇をかけなければなりません。仕事の分担方法は、早番から深夜番までの時間帯による区切り方が多く、勤務中は介助から事務処理まであらゆる業務をこなすことが求められます。
このやり方だと過重労働に耐えかねて職員が辞めてしまうことが多く、ベテラン職員が少ない介護業界では、また新人を雇って一から教え直すといサイクルを繰り返すことになります。これはおよそ効率的とは言えないでしょう。
そこで、ワークシェアリングという概念を介護現場にも導入し、1つの業務に特化した職員を雇い、他の業務には関わらないという働き方「介護シェアリング」が採用されました。例えば、食事に特化した職員は、調理や配膳から皿洗いまでを行い、排泄や入浴の介助には携わりません。また、送迎専門の職員は、車の運転と要介護者の移乗の介助だけを担当し、施設内の業務を一切遂行しないのです。
このような勤務形態であれば、長時間勤務が難しい主婦や高齢者も、介護サービスを部分的にサポートできるので、気軽に参入できます。大幅な体制変更が必要などの課題もありますが、短時間でも働ける人が増えて、人手不足の解消につながると期待されています。介護現場に多くの人が関われる介護シェアリングは、介護に対する関心を高め、現場職員の負担を軽減できる魅力的なシステムだと言えるでしょう。